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危機のなかから

2001年10月09日 15:05

今日は10月9日です。
「養殖」編集部さんから、「10月9日が締め切りですよ」と言われて、昨日から書き始めましたが、なんとも文章になりません。
なぜかというと原因は二つ。
ひとつ目は、昨日、朝起きてインターネットを見れば「アメリカがアフガンを空爆」、テレビをつけてもそのニュースばかり。
日本の自衛隊が武器を持って行くとか行かんとか・・・。
こりゃ当分、このニュースばっかりやなあ。日本も戦争に巻き込まれるかもしれん、巻き込まれないまでも、経済活動には大きな影響があるのは必定。とにかくテロなんていや、戦争もいや、平和であって欲しい。。。。
なんて事を考え始めたら、とても、「養殖」誌の原稿を書く気になりませんでした。
二つ目は、「養殖」編集部さんから「いつも厳しい内容だから、少しは養殖業者が喜べるような明るい内容でお願いします」とプレッシャーをかけられていた事です。
ところが、マイカルの経営破綻や狂牛病問題などで、この秋になってから末端の状況は、それまで以上に落ち込んできている状況です。
そんなんで、どこに明るさがあるんや・・と、苦悩している状態です。
特に、狂牛病の問題は、大変です。
養殖魚の餌の問題、蒲鉾の品質改良材の問題、珍味にも牛由来の原材料が含まれている等々、これらの対応について業界はてんやわんやの状態になっています。
普通なら、末端においては年末企画を具体化していく時期なのですが、当面の対応に追われてとてもそこまでできない、厳しい状況になっています。
狂牛病の問題は、デフレ、消費減退で打撃を受けている食品関連業界に、さらに深い打撃を与えています。
国の対策の遅れや方針の迷走が、消費者の不安感・不信感を増幅させていることは否定できません。
一刻も早く、きちんとした方針と対策を取られることを、国に望みたいと思います。

養殖業界と限定せず「水産業界」と枠を広げるならば、比較的明るい話題はあるんです。
サンマが豊漁、アキサケも豊漁。天然ブリやハマチも多い。
先日、いくつかのスーパーを見て回りましたが、山陰産の2kgくらいの天然ハマチの短冊が片身680円でした。
十分、4人前は取れる大きさでした。
消費者にとって、こういうのは非常にいいことです、安くて美味しいお刺身が食べられるのですから。
特に、こうした刺身商材が安い場合は、大人だけでなく子供達も食べますから、魚食普及という観点からも素晴らしいことなのです。(焼き魚や煮魚が食べられない子供でも、お刺身は好きな子が多いのです。)
ところが、養殖業者さんから言えば、これは大変なことです。
大阪の荷受会社の情報誌(11月号)には、「ハマチもブリも天然ものが多いため、養殖物は弱含み」と書いてあります。
ブリのラウンドがkg900円~800円、ハマチに至っては、kg1000円~600円の予測をしています。
これでは養殖業者さんは赤字?ですよね。
サンマは養殖がありませんから、競合はしないと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。
ここ数年、末端ではサンマの刺身を重点的に売っています。
何故かというと、サンマの刺身はちょっと手間はかかりますけど儲かるのです。
上記のスーパーでは、丸のままの生秋刀魚は2尾298円でした。
秋刀魚の刺身は、1尾分380円でした。
1尾150円のものが、ちょっと手を加えると2倍以上になるわけです。
このところ、末端では、魚価の低下等による一点単価の低下や競合による値下げ競争のもとで、売り上げは落ちてるは利益率は下がってるはのダブルパンチなのです。
そうした状況ですから、どこも「儲かるサンマの刺身」を売るのです。
そうなると、当然、他の刺身商材が影響を受けます。
タイ、ハマチ、カンパチ、平目などの養殖の刺身商材や、マグロ、イカなどの売り上げは落ちる可能性があります。
そうなると、当然、養殖魚の出荷量は減るし値も下がります。
なかなか、うまくいかないですね。

一度、韓国産のカキを食べてみようと思い、久しぶりに市場に行きました。
そしたら、国内産地のカキが出まわってきたから韓国物は入れてないと言われました。
それで、とりあえず宮城産のカキを入手したのですが、「活ハモ」を1尾、おまけに入れてくれました。
「そのハモ、なんぼや?」と聞いたら、「100円以下」ですって。
中国か韓国のもので、300gくらいでしたけど、1尾100円もしないなんてビックリしました。
この話をfishmlに投稿したら、紀州の漁師さんが「1尾55円の時もあったよ」という返事をくれました。 
これにも驚愕!!! こんなんで漁師さん、やっていけるの?
消費者にとって安いことはいいことなのですが、漁師さんの再生産費用を賄える値段なのかどうかが心配です。
再生産費用を賄えない値段が続くのなら、漁師をやめるしかないわけです。
そうなると、漁獲量も落ちるし魚価もあがり、消費者にとっては安くて美味しいお魚が食べられなくなる可能性があります。
何事にもほどほど、別の言葉で言えば「適正価格」というのがあるはずです。
消費者も満足し、漁師さんも生活していけるという状況を作りだしていかなければと思います。
この論理は、養殖業にもそのまま当てはまると思います。
輸入の安い養殖魚が増え、それに引きずられて国内産の養殖魚も値下がりし、養殖業者さんの再生産を保証できない価格となるのを放置するならば、日本の養殖業は壊滅します。
もちろん、養殖業者さんの企業努力がいっそう求められるのは当然のことですが、各種のインフラの内外格差は企業努力では解決しないのは自明だと思います。
ですから、消費者サイドとしても、「安い、安い」と喜ぶだけでなく、「なぜ、そんなに安いのか」という疑問を持つべきです。
本来、生産者と消費者は、対立する概念では無いはずです。
当たり前ですよね、生産者だって消費者なのですし、消費者のなかの一部が生産者なのですから。
したがって、先に書いた「消費者も満足し、漁師さんも生活していけるという状況を作りだしていかなければと思います。」というのは、やりようによっては可能であるはずなのです。

6月の通常国会で、水産基本法が成立しました。この法律では、基本理念として下記の2点を位置づけています。
   http://www.agri.pref.chiba.jp/nourinsui/13gyoshigen/kanri/saibaishigen/%E6%B0%B4%E7%94%A3%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%B3%95.htm
1.水産物の安定供給の確保
2.水産業の健全な発展
平たく言えば、水産業を国民への食料を供給する産業として正式に位置づけたという事でしょう。
このこと自体、画期的なことと思うのですが、私が注目するのは下記の点です。
「国民に対する水産物の安定供給については、我が国の漁業生産の増大を図ることを基本に、輸入を適切に組合せ(る)」
これは、「水産物の安定供給の確保」の中の3番目に位置づけられています。
順番はどうでもいいのです。大事なことは、「我が国の漁業生産の増大を図ること」が基本だということです。
輸入はあくまで、「適切に組み合わせる」のであって、輸入品が国産品を駆逐するようなことは、この法律の趣旨に反する事です。
このあたりは非常に重要な問題であり、国会においても、輸入による影響緩和のため「セーフガードは引き続き努力」と武部農相は答弁しています。
水産基本法が、真に国民の食料である水産物の供給を保証し、同時に水産業に従事される方の経営と生活を保証するものとなるように、具体的な施策の実現を期待したいと思います。
 2001年10月9日
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