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近畿大学水産研究所で学んだこと

2001年06月17日 13:16

11年間やってきた水産バイヤーという仕事に別れを告げ、この春からインターネット関係の仕事で、一日中パソコンと仲良くしています。
水産業界でも、7月上旬から、FISという外資系の会社が中心になり、日本の大手水産会社や荷受会社が連合して、「Fish On Line」という、e-マーケットプレースを立ち上げます。
これは、いわゆる「BtoB」(ビジネスtoビジネス)であり、産地・メーカーと消費地のスーパー、大型小売店などが直接取引きをするサイトです。
今までも,水産の「BtoB」はいくつもありましたが,業界の大手が参画するのは「Fish On Line」が初めてではないかと思います。
この取り組みの成否が、水産業界の今後を占うもののひとつとなると思いますので、注意して見ていきたいと思います。
 http://www.fis-net.co.jp/fisdb/newtop/newtop.asp
いずれにせよ、水産業界でもITの流れは押しとどめられないものになってきています。

5月19日~20日の2日間、私の主宰しているメーリングリスト「fishml」の第4回オフ会を、紀州で行いました。
内容は、①懇親会 ②定置網船に乗って定置網漁を実体験する ③近畿大学水産研究所白浜実験場見学の3つの取り組みでした。
近畿大学の熊井先生のご配慮をいただき、21日には有志2名で、大島のクロマグロ養殖場を見学させて頂きました。

養殖産地の皆様でしたら、近畿大学水産研究所がどのような研究をされているのかはご存じだと思いますので、それについては省略させていただき、諸先生方のお話から学んだことを書いてみます。
以前の号で書かせていただいた「養殖鯛の身がヨレヨレになる問題」を質問させていただきました。
回答は、「養殖鯛にいくつかのランクがあって良いのではないか。身はしっかりしているし美味しいが価格は高い鯛、価格優先で身質や味は少し落ちる鯛、中間的な鯛など。すでにそういう流れになっている。」と言うことでした。
私は、「大学の先生がそこまで考えてるの?」と意表をつかれた思いでした。
確かに、末端の利用から考えれば、「刺身用の鯛」と「切り身用の鯛」が同じでなくても良いのです。
切り身にして焼いたり煮たりするなら、身持ちは刺身用ほどシビアに考えなくてもいいわけです。
もっと詰めて考えれば、「焼き用に使う鯛」はこういう身質で、生産方法はこうで、コスト的にはこうだ。
「煮付けに使う鯛」についても、同じように考えていく。
これらをそれぞれ生産段階で特化することができれば、消費者側としても、いっそう「買いやすく、使いやすく」なるわけで、サカナやさんも売りやすくなります。
養殖場としても、トータルした生産コスト面で、今より安くあがるかもしれないですね。
養殖鯛の生産段階では、ある程度そうした選別生産が始まっているらしいですが、現状では、流通がそれに対応しきれていないと思いますし、今後の大きな課題だと思います。

養殖魚と天然魚の関係の話の中で、熊井先生が「養殖魚は養殖魚の美味しさがある。かならずしも、天然魚と同じで無ければならないと言う事ではない。」「ウナギは、天然の味ではない。あれは養殖の味なのです。」と言われました。
これはショックでした。
特に、ウナギについて、このような指摘をされたことは無かったので、眼からウロコが落ちる思いでした。
ブリや鮎の場合は、「天然に近い味」という宣伝をされたりしますが、ウナギについては絶対そのようなことは言いませんね。
逆に、天然は脂が多くて皮が固くて美味しくないというような評価が多いようです。
養殖ウナギの味を受け入れているにも関わらず、ブリや鮎はなぜ「天然に近い味」のほうが評価が高いのか?
どうも、このへんは、論理的な整合性がないなあと考えてしまいました。
「美味しさとはなんなのか」という問題を、もう一度考え直すべきだと思っています。

近畿大学水産研究所では「交雑魚」の研究もされています。
有名な「交雑魚」でブリヒラがありますが、これはここで開発されたものです。
私自身は、「交雑魚」というのには否定的だったのですが、いろいろお話を聞かせていただく中で、交雑そのものは自然の中でも起こっている可能性があることや、植物の交雑(品種改良?)は誰も疑問に思わないのに魚の交雑に疑問を呈するのはおかしいのでは無いかという点などを考えると、考えなおさなければいけないような気がしています。

大島実験場では、クロマグロの養殖イケスを見せていただきました。
直径40メートルくらいの丸いイケスに、平成8年生まれのクロマグロ(40kg~100kg)が泳いでいました。
「イカの胴に鯖を挟んだ餌」を与えて見せてくれました。
クロマグロはイカが好きで、イカを食べさせるとサバには見向きもしないと言うことで、こういう形でエサをやっているのだそうです。
その後、大島の内側で太平洋に面した養殖イケスに行きました。
ここには、先に見たクロマグロの親(13歳・体重200kg~350kg)が飼育されていました。
クロマグロの特徴であるブルーの測線が神秘的に美しかったですね。

クロマグロの養殖場を見て、これは壮大な実験だなと思いました。
人工孵化から成魚にするという工程が確立されたら、資源保護と安定供給の両面から、素晴らしい事だと思います。

私は、川下で働く人間ですから、川上のことはよく分かりません。
しかし、近畿大学水産研究所の各施設で行われている多様な研究が、実業の面に大きな影響を与えてきたことは、今回の見学でよくわかりました。

この文章を書いているときに、「奄美大島の瀬戸内町花天(けてん)というところに、マグロの新実験場が完成し、6月5日に開所式」というニュースが飛び込んで来ました。見に行きたいなあ。
 2001年6月17日記
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雑誌「養殖」 コメント: 0 トラックバック: 0

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